合掌

2016年09月09日(金)

学生の皆さんが夏休みの間、実家の墓参りも兼ねて、家族で『白川郷』へ行ってきました。
同じような景色は他で何度か見てはいるものの、実際に現地に訪れたのは初めてです。子供たちに世界遺産を見せてあげたい・・・今回はそんな思いもありました。

ただ、何かアトラクションがあるわけでもなく、子供向けの物がたくさん売られているわけでもありませんので、どういう反応を示すか、少し不安ではありました。でもその心配は、全く無用でした。

もしかすると「日本昔ばなし」に出てくるあの世界を、そのまま現実化したようなこの風景が、思いのほか気に入ったのかもしれません。まるで「となりのトトロ」の「サツキ」や「メイちゃん」のように心ウキウキしている様子が、アチコチで垣間見られました。

特に白川郷の見所である「合掌造りの家」の中に入った時、その暗がりをおそるおそる、でもワクワクしながら探検する様子はまるで「まっくろくろすけ」と出会うあの瞬間に似ていたかもしれません。

今回、外はあいにくの小雨でしたが、軽くモヤがかかった感じはかえって幻想的に見え、山あいに浮かんだ雲は、手を伸ばせば届きそうな近さでした。

集落を見下ろせる小高い山があり、その展望台からの眺め↓です。水田に広がる稲穂のライムグリーンが、本当に鮮やかです。同じ位置から秋の紅葉、そして冬の雪景色も、是非見てみたくなりました。

白川郷のような集落が存続していくためには、住民の相互扶助が不可欠です。
田植え・稲刈り・収穫はもちろん、雪深い中での生活、また茅葺き屋根の葺き替えなど、集落あげての共同作業となります。いわゆる全てが「お互いさま・おかげさま」の世界です。

その「助け合い」の精神で作られた昔ながらのしくみが「結(ゆい)」という名で呼ばれているそうです。その説明を聞いて、言葉の響きとともに、ほっこりとした温かさを感じました。
まさに人と人の「絆を結ぶ」役割を担っているのでしょうね。

今回世界遺産に選ばれたのも、単なる歴史的・伝統的集落というだけではなく、厳しい自然を生き抜く中、お互いを尊重しあう「心」も共に認められたのではないでしょうか。

合掌造りの所以は その急な勾配の茅葺き屋根が、掌を合わせた時の形状に似ていることから名付けられたと言われていますが、ここに住む人々の生きざまが、互いに敬い寄り添う姿が、
まさに『合掌』なのかもしれない・・・。

そんなことを思いつつ、白川郷を後にしました。