おもてなしの心

2021年04月23日(金)

2020東京オリンピック招致活動において滝川クリステルさんが「おもてなし」をしぐさで表現され、最後に合掌された姿が思い出されます。

「おもてなし」の語源は、辞書によると、とりなし、つくろい、たしなみ、ふるまい、挙動、態度、待遇、馳走、饗応とあります。また他にも「おもて(うら)なし」から表裏のない心という意味もあるようです。大切なお客さまをおもてうらのない心で誠心誠意 気遣いや心配りをしお迎えする。そういう気持ちを合掌にこめられたのではないでしょうか。

まだコロナになる前のことですが、家族が映画を見て感動し、『お父さんも観た方がいい』と言われ、単身赴任の私は一人で映画館に行くことになりました。入場券を購入し、少し時間があったので、ポップコーンを買って、ロビーで時間を潰すことにしました。

そこにはジュースやポップコーンのカップを置くスタンドが用意され、椅子は無く、立ちながら食べられるスペースがありました。そのスタンドに買ったばかりのポップコーンのカップを入れて一口二口食べ始めたのですが、あまりしっかりとしたスタンドではなかったので、一瞬「ぐらっ」と揺れたように感じた私は、咄嗟にカップを抑えたつもりが、ほとんど満タンのカップを床に落としばらまいてしまったのです。「ああやっちゃった」と心の中で後悔し、また周囲の視線が一斉に私に向けられたので、穴があったら入りたい気持ちになりました。

仕方なくばらまかれたポップコーンを一つ一つカップに回収する作業に取り掛かりました。気が付くと、なんとそばにいた女子大生が一緒に拾いはじめてくれていたのです。また別の方が店員さんを呼びに行ってくださり、ほうきと塵取りを持って駆けつけてきて、回収してくださいました。更にはそれを見ていた店長さんらしき方が、私が買ったものと同じものを用意して差し出してくださったのです。温かい気持ちに包まれたのは言うまでもありません。

東京に住んでいるとそのような温かい心に触れる機会が多くあります。私自身そんなおもてなしの心を居ながらに学ばせて頂いているのだと改めて感じました。東京オリンピック開催は、この先どのようになるのかわかりませんが、私もそのように人さまと触れあえる人になれるよう精進して参りたいと思います。